脂肪肝と皮膚
こんにちは、院長の栗木安弘です。
クリニックにも脂肪肝の患者さんはたくさん受診されています。
すべての方がそうとは限りませんが、毎回血液検査結果を見せてもらうと、
脂肪肝って、内科通院している割にはなかなかよくなっていない方が多いなぁ、
と感じます。
脂肪肝の治療の多くは、
①コレステロールを下げる薬
②糖尿病合併例では血糖値を下げる薬
③EPL(脂肪肝で唯一保険適応のある薬剤)
が処方され、具体的な生活指導はあまりなく、
ただ単に「痩せなさい」「運動しろ」ばかり指導されていると、患者さんから聞きます。
医師もご存じありませんが、
皮膚を代謝させる核酸は肝臓で作られます。(これをサルベージ合成と言います)
そのため脂肪肝をはじめ肝機能障害は、アトピーやニキビ、湿疹、乾癬といった皮膚のトラブルを生じます。
脂肪肝の治療は、上記の画一的な対応がよくなされていますが、
先ほど言いましたように、実際はあまり成果もなく、結局は皮膚のトラブルが続いている方が多いようです。
できるだけ糖質を減らし、タンパク質摂取、食後の軽い運動、
薬剤という異物ではなく、体が知っている栄養素をたくさん摂取して栄養代謝を改善させることが、
肝臓および皮膚に対する本当の意味での改善策となります。
外用中心主義
こんにちは、院長の栗木安弘です。
先週の金土はクリニックを臨時休診して横浜で開催された皮膚科学会に出席しました。
さまざまな皮膚疾患の講演がありましたが、おもにアトピー性皮膚炎やスキンケアに関する講演に参加しました。
講演内容は、エビデンスの高い外国の論文からの研究データを説明されながら、
ステロイド外用剤の安全性やぬり方(おもに1FTUやプロアクティブ療法)、保湿の重要性が強調されていました。
具体的には、皮疹が軽快しても週2~3回のステロイド外用、1日2回の保湿を継続することが重要で、
こうしたケアを生活の一部として取り入れるような提案もされていました。
多くの皮膚科医はメモを取ったり、うなずいたりしておりましたが、
私はあまり素直に受け入れることはできませんでした。
どうしても皮膚科医はぬり薬やスキンケアを中心に考える傾向がありますが、
患者さんは何かをぬるため、保湿をするために生活しているわけではありませんし、
べたべたして気持ち悪い、患部に手が届かない、仕事や育児が忙しい場合には、継続することは難しいようです。
そして何よりもこうした治療やケアで完治できればよいのですが、
結局は永久にこの治療が続けられ、喜ぶのは製薬会社ということになります。
やはり、面倒な外用療法やスキンケアが必要でなくなる対策を併用していく必要がありますが、現時点ではエビデンスが乏しいようです。
学会では亜鉛に関する講演もあり、同じようなことを述べていた皮膚科でない医師もおられましたが、
やはり皮膚科医は、内面ではなく、外から何かを施すことに関心があるようだと大いに感じた学会でした。
皮膚科学会
こんにちは、院長の栗木安弘です。
明日から横浜で行われる第114回日本皮膚科学会総会でポスター発表をおこなうために、
ご迷惑おかけしますがクリニックは臨時休診といたします。
今回は脂漏性皮膚炎がテーマで、
一般に大人の脂漏性皮膚炎(フケ症)は、慢性に繰り返すため治りにくいとされています。
治療法として、ステロイドローションや抗真菌剤入り外用剤が処方されますが、
その使い方には明確に決まっておらず、
そのあたりをマラセチア(真菌)やビタミンBと関連付けて多くの先生方に理解していただきたいと思います。
爪削り
こんにちは、院長の栗木安弘です。
当クリニックでは、
分厚くなった爪の水虫に対して、電気ドリルを用いて、
病変部をできるだけ取り除き、外用剤の効果を高めていく爪削りの処置を行っています。
こういった処置をしていない皮膚科では、
爪水虫に対してはぬり薬だけが処方されていますが、
どう考えても、厚く変形した爪水虫には、ぬり薬だけでは治らないと分かっていても、
処方が続けられていることが多いようです。(そのうちあきらめて受診しなくなる)
糖尿病に対して血糖降下剤
高血圧に対して降圧剤
アトピーに対してステロイドや保湿剤
など病気に対して、決められた保険適応の薬を処方することは間違いではありませんが、
本気で治したければ、爪削りも含めて、詳しい説明、薬以外の対策、食事・栄養指導など、
ある程度医師が努力しなければならない部分も多々あるかと思われます。
毎回爪削りの処置を行うたびにそう感じています。
皮膚の役割
こんにちは、院長の栗木安弘です。
今回は少し基本に戻って、皮膚のはたらきについてご紹介します。
毎日多くの方の診療をしていて、
皮膚が臓器の一部で、日々の食事から作られているということを自覚されている方はほとんどおられないようです。
栄養が皮膚に届くことで、新しい皮膚細胞が作られ、古い細胞は垢(アカ)になって脱落していきます。
これを専門用語で“角化”と言います。(角化の材料はビタミンA、亜鉛、コラーゲン)
角化は皮膚の内部から外部に向かう一方通行の代謝で、
古い細胞だけでなくメラニン色素や重金属や老廃物、汗や皮脂なども排出していきます。
つまり皮膚は排泄器官であるということであり、
外側から軟膏やクリームや保湿剤を長くぬり続けることは、
とても不自然で無理があることは容易に理解できるかと思われます。
皮膚のケアや治療は、一般的にはスキンケアやステロイド外用剤が常識のようで、
学会に行けば、保湿の重要性、ステロイド外用剤の安全性がしきりに強調されていますが、
皮膚をよくするためには、皮膚に栄養が届くための十分な血液と、
十分な栄養を体の内側から与えてあげることが最も自然で安全な方法だと言えます。
逆に考えると、皮膚がかゆい、赤い、ブツブツ、ジクジク、カサカサなど、
皮膚のさまざまな変化や異常は、血液や栄養状態の異常のあらわれとなります。
こうした細かい変化を読み取り、内臓の異常をみつけることも皮膚科医には求められます。
来なくなった患者さん
こんにちは、院長の栗木安弘です。
最近、栄養療法を目的に遠方から受診される患者さんもちらほら増えてきましたが、
やはり栄養療法を行っていても、なかなか良くならず、
結局受診されなくなった患者さんも過去に何人もおられました。
今考えると、
何がいけなかったのか?
どうしてよくならなかったのか?
サプリメントの選択を間違えたのか?
などいろいろ検討や反省すべきことがたくさんあります。
受診されなくなった患者さんの傾向をみると、
やはり幼少時からのアトピー性皮膚炎で、
長年ステロイド外用剤を繰り返し使用し、その後脱ステを行われた患者さんが多かったようです。
皮膚の目立った変化として、
ジクジクした浸出液が出る、かゆみや赤味が強い
ことが多く、やはり炎症のコントロールがうまく行かなかったせいだと思われます。
こうした方は栄養補給よりも抗炎症を優先すべきで、
炎症の原因として、
①アレルギー(遅延型食物アレルギー→消化吸収・腸内環境)
②感染症(ブドウ球菌やカンジダ)
③酸化ストレス、抗酸化力の低下
④何かにかぶれている
⑤油の摂り方
など個々で対応は異なります。
現状のアトピー治療では、
アレルギー体質やアトピー性皮膚炎を完治させる薬(ぬり薬)はなく、おもに対症療法が主体になります。
栄養療法で使用するサプリメントは高額で、すぐに効果も出ませんが、
アレルギー体質や弱った皮膚を変えてくれる安全な武器だと確信していますので、
可能な限り、続けていただけるよう情報提供をしていきたいと考えています。
名医とは?
こんにちは、院長の栗木安弘です。
最近本屋さんにいくと、やたらと全国の名医、おすすめの病院といった本がよく販売されています。
とくに名医と呼ばれる医者は大勢いるようで、
その解釈は、
ある特定の疾患の知識や治療技術が優れている専門家
患者さんの話をじっくり聞いてくれる
患者さんの希望にそった治療をしてくれる
薬をたくさん出してくれる
病気を早く見つけて治療してくれる
講演や医学論文をたくさん執筆している
など人それぞれ定義にバラつきがあります。
私もこうした名医をたくさん知っていますが、個人的には、上記のような医師だけでなく、
薬や西洋医学だけに過信せず、食事の見直しや、細かい栄養指導にて、
できるだけ薬に頼らない、薬を減らす努力を日々行う医者が名医かなぁと思っています。
昨日のラジオ番組で、
15種類飲んでいた薬を減らしたら、症状がよくなった高齢者のニュースを聞いてそう思いました。
皮膚を美しく強くするスキンケア
こんにちは、院長の栗木安弘です。
先週の土曜日に、ニキビの新しいぬり薬の発売を記念した講演会に参加しました。
おもにニキビのスキンケア、標準治療に関する内容でした。
とくにスキンケアもいろいろなやり方があるようで、
最近の論文や研究データを交えた科学的でとても興味深い内容でした。
今後益々スキンケアの必要性が注目され、指導が皮膚科医により徹底されると思いますが、
個人的には、①1日2回の洗顔 ②保湿、③日焼け止め外用、
といった正しいスキンケアは、
実際やるとなれば手間も時間もかかり、忙しい方はなかなかは続かない気がしますし、
長期に使用する場合、アレルギーやかぶれも原因にもつながります。
スキンケアは一時的で、もっとシンプルでええ加減でよいかと思われます。
むしろ皮膚の代謝を分子レベルで理解すれば、
皮膚に必要な成分を外側からではなく、内側から補給することが自然で効果的だと思われます。
講演でビタミン剤について述べておられましたが、長く続ける場合には、ビタミン剤という人工物ではなく、
タンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンA・B群・C・E、コンドロイチンといった、
皮膚の代謝に必要な栄養素を天然サプリメントにより大量に補給することです。
十分な栄養を皮膚に送り続けることで、美しく強くするスキンケアが可能となります。
がんは慢性疾患
こんにちは、院長の栗木安弘です。
先日、某芸能人ががんで亡くなったことに対して、
出演者の一人が、
「がんになったら、がんと闘うか、死ぬかしかない」
と言われていましたが、私は共存することも必要だと思いました。
このことは栄養療法のがん講座で学んだことで、
「がんは慢性疾患」
「無理やり抑え込むのではなく、悪さをしないようしながら、がんに対抗できる栄養状態を保つこと」
「がんでも貧血と低タンパクを進行しなければ長く生きられる」
といったお話や、症例を見せて頂いてから、
がんもそれほど怖くない病気だなぁと感じました。
healing cancer
がんの一般的な治療は
①手術 ②抗がん剤 ③放射線治療
であり、こうした苦しい治療を選択し、
がんと闘っている患者さんは賞賛され、
放置を勧めている医師は非難されている風潮のようですが、
がんを糖尿病や高血圧のような慢性疾患として捉え、
栄養状態を良くして免疫力を高め、うまく共存するという選択肢もやはり必要ではないかと思われます。
売るサプリ、効くサプリ
こんにちは、院長の栗木安弘です。
世の中には、薬局、コンビニ、新聞やテレビ広告など、星の数ほどサプリメントが氾濫しています。
サプリメントは食品扱いですので、
「○○に効きます」
「××疾患に効果がある」
という効能表示は法的にはできません。
そのため効果に関しては期待できないというわけですが、
メーカーはさまざまな戦略で売り込んでいきます。
例えば、
芸能人を起用した体験談、改善談
使用前使用後を視覚やアニメーションで訴える(ライ○△プなど)
太陽の恵み、元気ハツラツ、血液サラサラといった間接的な表現
などなど消費者に購買意欲を与え、売り込んでいきますが、
効果なくても、効くとは言っていないので消費者は当然文句は言えません。
すべてのメーカーがそうではありませんが、TVで観るようなよく知られているサプリメントは、
有効栄養成分がごくわずかしか含まれておらず、(完成品にきちんと入っているかも疑問)
その分、宣伝費に膨大なコストをかけている商品が多いような気がします。
効果が出て、血液データに反映させるためには、
原材料にこだわり、栄養素が大量に含まれ、
吸収や体内での代謝がうまくいくような配合の製品で、
作り方やレシピも公開されているようですが、
開発や製造に手間も時間もかかり、儲けも少ないため、大手メーカーはあまり作りたがらないようです。