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2015.07.22

栄養療法の適応

こんにちは、院長の栗木安弘です。

当たり前のことですが、
私自身もすべての皮膚疾患に栄養療法をすすめているというわけではなく、
虫刺され、火傷、外傷、急性のかゆみやじんましん、かぶれ、蜂窩織炎、水虫、ヘルペス、かゆみが強い
といった場合には、薬を積極的に処方し、出来るだけ早く治すようにしています。

栄養療法の適応には、
 慢性疾患、難治性疾患
 薬を使いたくない、妊婦や子供など薬が使えない患者さん
 原因不明の疾患
 耐性菌などで薬が効かない
 本人が栄養療法を希望
などがあげられますが、経過中に何らかのかぶれや感染症といった状態を合併することもあります。
この間も、皮膚の変化から栄養障害が疑われましたが、
検査をして水虫だった症例や、かぶれを合併していた症例もありました。

本当に現時点で栄養療法が必要かどうかの見極めも専門医師の務めであるかと思われますが、
栄養療法をつづけることは金銭的に負担はあっても、体にとっては大きなデメリットはないかと思われます。

2015.07.15

オプティマルヘルス

こんにちは、院長の栗木安弘です。

オプティマルヘルスとは、
その人にとって「最高・最善の健康状態」という意味です。
これまで健康状態は、病気と病気でない状態の二つに分けて考えるのが一般的でした。
しかし、予防医学の観点から考えた場合、病気でないことは、必ずしも「健康な状態」を示すわけではありません。
一人一人、年代や生活環境によって身体の状態は異なりますが、
その人にとっての「最高・最善の健康」を保つためにはどうしたらよいのか?
それがオプティマルヘルスの考え方です。

                                                       日本オプティマルヘルス協会より

栄養療法もこうした考えが前提にあります。
十分な栄養補給で、細胞の機能を100%発揮できれば、よりよい健康状態が維持できるというものですが、
残念ながら現代の食事内容では、カロリーは十分あっても、
体を作ったり、代謝に関わるビタミン・ミネラルはかろうじて不足状態にならない程度でしかありません。

健康診断や人間ドックなどの血液検査の基準値や国が決めた栄養の所要量は最低ラインの健康状態です。
それ以上を目指すオプティマルヘルスの場合には、国は面倒を見てくれません。
サプリメントを用いて所要量以上の栄養摂取を行い、
基準値でない理想値を目指した栄養アプローチとなり、これは自己投資になります。

皮膚は内臓の鏡といいますが、
内蔵の病気がなければ、皮膚の状態がよいのではなく、
オプティマルヘルスを達成することで、トラブルの少ない丈夫で美しい皮膚が作られます。

2015.07.13

学会発表IN京都

こんにちは、院長の栗木安弘です。
昨日は京都で開催された第108回近畿皮膚科集談会に参加しました。

私も僭越ながら手荒れに関する発表をさせていただきましたが、
普段の栄養セミナーの発表と違って、偉い皮膚科の先生方の前ではさすがに緊張しました。
近畿皮膚科集談会

皮膚科学会や講演会では
 「エビデンスは?」
と叫ばれることが強いようですが、
今回は、
 「今日の身体は昨日までの食べ物でできている」
 「角質層、角化、コラーゲンの栄養は...」
 「手荒れは、ぬり薬をぬると良くなるが、やめるとまた出てくる」
という誰もが否定できない、あるいは習ってきた内容、診療で経験したことを盛り込んで、
改善症例を生化学的な血液検査データに反映した内容であったことか定かではありませんが、
批判的な意見もなく終了しました。

学会といえば、つい珍しい症例、治療に難渋した症例、研究結果といった、
アカデミックな内容ばかりが発表されることが多いようですが、
手荒れをはじめ、フケ症、アトピー、ニキビといった日常診療でよく診られるにもかかわらず、
一進一退を繰り返し、慢性に経過する疾患もどんどん取り上げて討論すべきだと思われました。

2015.07.03

正解はない

こんにちは、院長の栗木安弘です。

この間の日曜日は品川で皮膚と栄養のセミナーがありました。
皮膚がテーマでしたが、皮膚科以外の先生も多数参加されていて、いろいろな先生方とお話をすることができました。
そのなかで、感じたことは、
長年、栄養療法を実践されているベテランの先生でも、
なかなかよくならない患者さんに行き詰って、想い悩まれているということでした。

医療には、治療ガイドラインというのがありますが、
栄養療法には、ガイドラインもなく、これが正解という答えもありません。
選択するサプリメントは症状や病態により、個人個人違ってきますので、
皮膚の症状、消化や便通の状態、血液検査結果、そのほかの問診により絞り込んで選択しますが、
理屈で分かっていても、このサプリメントをこれだけ飲めば絶対よくなるという保証はありません。

当クリニックでも、栄養療法を行っても、なかなかよくならない患者さんもおられます。
よくならない患者さんはなぜよくならないのか?
よくならならず、こうしたらよくなった患者さん
をいろいろな先生方と検討することで、診療のヒントや解決の糸口がつかめるかと思われます。

セミナーでも申し上げたように、
慢性炎症や異化亢進といった病態に応じたタンパク質の適正な摂取だけでなく、
消化吸収、代謝(ビタミン・ミネラル、核酸)、運搬(血液)、排泄(腸内環境)をスムーズに行うことも一つのポイントだと思われます。

2015.07.02

しみと抗酸化

こんにちは、院長の栗木安弘です。

クリニックにはシミを気にして受診される方も少なくありません。
シミにはいろいろな種類がありますが、その原因の一つは紫外線による皮膚の酸化です。
シミの治療は、レーザーやピーリングや美白化粧品が一般常識のようですが、
酸化している皮膚であれば、治療によって一旦消えたとしても再び目立ってくることはよく経験します。

体の内側から抗酸化アプローチをすることで、シミ治療および再発を予防できます。
 ・酸化を防ぐカタラーゼやSODといった抗酸化酵素の材料はタンパク質、その活性には鉄や亜鉛
 ・過酸化脂質を減らすのはビタミンE
 ・メラニン合成抑制にはビタミンC、グルタチオン
などさまざまな栄養素が必要になりますが、
どれが一番必要かはシミの種類や血液検査結果で判断します。

レーザーや美容処置はシミが早く取れて、気分的によいかもしれませんが、一回ウン万円が何回も続きます。
それよりも、栄養療法による抗酸化アプローチの方が、
体にとって遥かにのメリットは大きく安全で安価であるかと思われます。

2015.06.26

鉄欠乏と皮膚

こんにちは、院長の栗木安弘です。

鉄不足と言えば、“めまい、立ちくらみ”というイメージくらいで、
医師も患者さんも鉄不足と皮膚は関係ないとお思いでしょうが、実はさまざまな皮膚の異常を生じます。

鉄が少なくなれば、
鉄欠乏性貧血となり、皮膚への血液の供給が少なくなり、栄養や酸素不足となります。(バリア・機能低下)
さらに真皮のコラーゲン形成や活性酸素除去には鉄の貯金が必要ですので、
貯蔵鉄が少なくなるだけでも皮膚のかゆみ、乾燥、しわ、しみなどを生じます。

かゆみ、手荒れ、ニキビ、脱毛、しみ、白斑、二枚爪、敏感肌、金属アレルギー、あせも、神経痛、むずむず感覚は、
鉄不足であることを血液検査結果より、よく経験します。
患者さんには鉄やその他の栄養と皮膚の関わりを説明し、栄養補給をおすすめしますが、
「皮膚=アレルギー・乾燥=ぬり薬」
という世間の方程式はそう簡単には変えられないようで、
やはり魔法のように効くぬり薬を多めに求める傾向が強いようです。

2015.06.25

早期発見早期治療

こんにちは、院長の栗木安弘です。

このところ芸能人ががんで次々お亡くなりになっています。
お昼のワイドショーでは、がんが血液一滴で分かる検査が紹介されており、
がんの早期発見早期治療をしきりに強調されておられましたが、
私はこの言葉はあまり好きではありません。

それよりも、がんを予防することの方がもっと重要だと思います。
しかし現状はこれといった確実な予防策がありません。
(もし病気を確実に予防する方法があれば、病院や保険会社が確実につぶれます)

栄養療法を学ぶと、ある程度のがんの予防は可能かと考えています。
その一つは抗酸化対策で、
細胞にダメージを与えている活性酸素への対策を行うことが、がんをはじめさまざまな病気の予防につながります。
こうしたことも時々TV番組でご紹介されていますが、
やはり、ここでも、
 「○○という野菜は抗酸化作用がある」
 「この食材は抗酸化成分が豊富」
 「適度な運動とバランスのよい食事をしましょう」
といった食事をメインとした指導ばかりで、
サプリメントを用いてたくさん効率よく摂取するといった発想は全くなさそうです。

日本は病気になっても保険が効いて安い手厚い医療が受けられるとお思いでしょうが、
検査、投薬、処置、手術のリスクや後遺症といった体への負担は0%ではありません。
むしろ医療者として医療の内部事情を知れば、
検査や治療を受けるリスクよりは、病気をできるだけ予防することに力を入れたいと思います。

2015.06.24

すべては栄養

こんにちは、院長の栗木安弘です。

皮膚科医は、職業柄、ぬり薬にウエイトを置いて、ぬり方の使い方やスキンケアの指導を細かくおこないますが、
やはり患者さんにしてみれば、ぬり薬中心の細かい治療やスキンケアを続けていくのは、
仕事や育児をされている方、高齢者には現実的に難しいようです。

私も皮膚の病気やぬり薬に関して情報提供や指導も行いますが、
それ以上に、病気(皮膚)と栄養についての重要性を強く感じ、
毎回診療のたびに「栄養、栄養」を強調して述べています。

よく考えれば、体は食べものから作られ、体内のさまざまな化学反応により、
骨、皮膚、筋肉、コラーゲン、血液、血管、神経、ホルモンといった体の材料がつくられ、
栄養により、組織や臓器、さらに感情が動かされるということは、
結局は、食べものの間違った摂り方によって、心身が正常でない状態や発病ということとなります。

食べもの以外では、
空気、水、アルコール、タバコ、薬剤、ストレス、放射線、電磁波、紫外線なども体に入って影響を及ぼしますが、
医学者としては、食べものと薬剤にはできるだけ注意を払うようにしています。

こうしたことを科学的に証明することは難しいですが、
 アトピー・アレルギーの増加
 不妊症・妊娠や出産のリスク
 子供のメンタル、発達障害、少年犯罪
 がん、成人病、精神疾患が増えている
 認知症や寝たきり高齢者の介護問題
 薬の多剤、乱用、副作用、医療費高騰
というような社会的問題も、
大袈裟かもしれませんが、血液検査の正しい読み方により、
多くの方が栄養代謝障害であることを理解すれば、
食の見直し・十分な栄養補給により、ある程度解決できるかと思っています。

2015.06.15

栄養の至適量

こんにちは、院長の栗木安弘です。

栄養療法でもっとも悩ますのはどのくらいの栄養を摂取すればよいかです。
これだけ飲めば効きますという量は決められておらず、
当然、効き目が出る量には、ある程度の量が必要(ドーズレスポンス)でありますが、
これもやはり個人差があり、栄養療法の世界では“至適量”と呼びます。

例えば、
ヘム鉄であれば2個/日でよく効く患者さんもおれば、
出血や需要増で、なかなかフェリチンが上がらない患者さんもおられます。

またビタミンB群であれば、
クリニックのビタミンB群を2個/日飲むだけで調子のよい患者さんもいれば、
脂肪肝や肝障害、がんの方であれば4個/日以上は必要になります。
ちなみに私は最低6個/日は飲んでいます。

基本的には口から天然物を入れる限りは上限はないようで、
大は小を兼ねるという発想から、できるだけ多く摂取してもらう方が効果も出やすいですが、
金銭的なことを考慮すれば、年齢、性差、体格、基礎疾患、改善したい症状から、
その人に一番必要なサプリメントを絞り混んで、量を決めます。
皮膚科の場合には、
皮膚の炎症の程度やジクジクが強い場合や、
広範囲に異常を認める場合には多めに指導するなど、
皮膚の状態や変化や分布によっても量を調整します。

参考までに病態改善に使用する栄養の量を示しますが、
一般的な所要量(欠乏症を防ぐ量)に比べると、桁違いに多い量となります。

2015.06.13

次回採血結果持参

こんにちは、院長の栗木安弘です。

栄養療法を取り入れた皮膚科診療では、
血液検査結果を診て栄養評価を行いますので、
クリニックで血液検査を行う前に、
どこかの医療機関や検診で行われた血液検査結果があれば、次回の診察時に持参してもらうようにしています。

実際検査結果を見せて頂くと、基準値内に入っているため、
 「異常なし、問題なし」
と言われている方の多くにさまざまな栄養不足があることが分かります。(完璧な栄養状態の方はまずいません)
またコレステロールのような本来は必要ないのに基準値から外れているだけで薬を処方されている方や、
逆に軽い貧血があるにも関わらず放置されているケースもあります。

血液検査項目は臓器別・疾患別に基準値に当てはめて良し悪しを決めることがほとんどですが、
基準値=正常値でありませんし、
検査項目の一つ一つは、
例えばGOT、GPTはアミノ基転移酵素といって、体内の生化学的な反応に関わる項目でもあります。
さらにこうした項目は脱水、軽い溶血、炎症などの要因で本来の値よりも上下することがあります。

生化学的な深読みを医師ができるようになれば、
不定愁訴や病気の多くの要因が栄養障害であると理解でき、
「年のせい、ストレス、アレルギー」でなく、もっともっと患者さんへの対応も変わってくるかと思われます。

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