内蔵も診る皮膚科
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚は内臓(栄養)の鏡
という理念で皮膚科診療をしていますので、やはり内臓についての知識も必要になります。
栄養療法に出会うまで、
アミノ酸って何?、ビタミンってどれだけある?
貧血や糖尿病ってどんな病気など、
栄養や内科についての知識もほとんどない、皮膚のことしか知らない専門バカでしたが、
栄養セミナーや勉強会で、
体内の栄養代謝、栄養素、臓器や疾患と栄養の関わり、消化管・免疫機能などを幅広く学んでいくと、
皮膚や皮膚疾患と栄養って非常に関わりが深いことを認識することができます。
私自身は内臓疾患の薬物治療はできませんが、
内臓疾患の背景に栄養障害が存在し、皮膚に影響することから、
栄養アプローチによる内臓疾患の対応はある程度行えるようにしています。
表面の対応ばかりに注目し、さまざまなぬり方や処置を模索・追究・提案するのも重要ですが、
こうした考え方や内面アプローチができる皮膚科医がもっと増えてほしいと願っています。
皮膚も生きている
こんにちは、院長の栗木安弘です。
体は食べているものからつくられるのは多くの方は理解されているようですが、
皮膚も食べものの量、種類、質によりさまざまに変化することはあまり感じておられない方がほとんどです。
私も栄養療法を学ぶ前には、「皮膚に何もなければ健康、変化があれば病気」
という認識しかありませんでした。
皮膚も臓器の一部であり、常に新陳代謝をくりかえして生きています。
体内の栄養状態により、その作り方や機能は影響され、変化し続けます。
その変化は
①肉眼的に確認できる異常
②虫メガネや顕微鏡的に確認にできる異常
③分子レベルの異常
があり、③→②→①という順番で進行しますが、通常の診察ではその確認は①か②までが限界です。
皮膚は内臓(栄養)の鏡であり、
栄養障害が多くの方に存在していることを理解すれば、
かゆみ、ブツブツ、赤味、カサカサ、ひび割れ、ゴワゴワ、脱毛、白い、色素沈着、しわというような
皮膚の変化は病気まで行かなくても、多少誰にでも生じることになります。
こうした変化に治療が必要かどうかは、見た目や本人の自覚の問題ですが、
できるだけ体内の栄養状態を良くすることで、皮膚のトラブルを最小限にしたいものです。
外用剤のかぶれ
こんにちは、院長の栗木安弘です。
アトピー性皮膚炎をはじめ、治療をしていてもなかなか良くならない皮膚疾患の場合には、
意外とぬっている成分にかぶれている場合も少なくありません。
以前経験した患者さんでは、
顔面の難治例では、スキンケア用品によるかぶれ
アトピー症例では、ラード、クロタミトン(止痒剤)による悪化例もありました。
文献的には皮膚科でほぼ毎日処方されるヒルドイドも添加物によるかぶれの報告もあります。
その他、市販の保湿剤や化粧品などに含まれた添加物、保存料などにもかぶれている例もあるかもしれません。
結局、なにもつけない患者さんの方が意外と経過がよかった方もおられました。
皮膚という目に見える変化やかゆみに対して、
何かをぬって早く対応したいという気持ちも分からないこともありませんが、
皮膚のバリア機能が低下した場合に、人工的な物質を皮膚に長くぬり続けることで、
容易に外用剤の成分が侵入し、逆にかぶれ・アレルギー(専門用語で感作という)を起こす危険性を常に考えなければなりません。
やはり皮膚のバリア機能は、体が本来知っている成分(栄養)で内面から回復させながら、症状緩和目的で一時的に外用することをおすすめします。
バランスのよい食事?
こんにちは、院長の栗木安弘です。
テレビの健康番組をみると、
「バランスのよい食事」
「野菜をしっかり」
「サプリメントに頼らない」
といったコメントを医師や栄養士さんがよくされています。
しかしよく考えてみれば、
食材に含まれた栄養って産地や作り方によって違ってくるし、調理により栄養成分は失われます。
さらに消化吸収力は個人個人異なり、
胃酸が少ない人(あるいは胃酸抑制剤を飲んでいる)は、タンパク質をはじめビタミンやミネラルの消化吸収が悪くなるため、
バランスよく食事を摂ってもバランスよく栄養になりません。
少し脱線しますが、ご飯という主食を中心としたバランスのよい食事がそもそも糖質過剰ですが…
世間では、
食べたものあるいは、食材の栄養素がそのまま腸から吸収されているように思われていますが、
消化吸収や栄養代謝を理解すれば、こうした指導は全くナンセンスです。
食事を気を遣うのはとても大切ですが、まず見た目や味を楽しむもので、残念ながら十分な栄養は摂取できません。
マスコミから発信される栄養云々の情報にくれぐれも振り回されないようにしましょう。
食べものメリット、デメリット
こんにちは、院長の栗木安弘です。
糖質、脂質、タンパク質が栄養の代表選手であり、3大栄養素と言います。
それぞれ体に必要な役割がありますが、一方では注意しなければいけない面もあります。
①糖質(お米、小麦、砂糖など)
即時型のエネルギーとなり、運動や瞬発力の材料となります。
糖質は、胃での消化を受けませんので、消化の悪い人やお年寄りには食べやすい栄養素ですが、
過剰摂取となれば、低血糖症、糖尿病、肥満、ビタミンB不足の原因につながります。
②脂肪、脂質
貯蔵型のエネルギーであり、糖質やタンパク質に比べて効率のよいエネルギーとなりますが、
脂の種類によって、炎症やアレルギーを起こす場合があります。
一般的には、ω3系(EPA、亜麻仁油、エゴマ油)、動物性脂肪は問題なく、
ω6系植物油、マーガリンの過剰摂取はアレルギーや炎症を起こしやすいとされています。
③タンパク質(肉、魚、大豆、卵)
体の構成成分ですが、
エネルギーが足りないとタンパク質を壊してエネルギーに作り変えますので、
緊急型エネルギーというわけです。
栄養療法では、最も重要な栄養で、できるだけたくさん摂取してもらいますが、
摂取の仕方により、食物アレルギー、遅延型アレルギーを生じたり、
栄養障害のひどい方は消化不良、お腹が張ったりすることがあります。
その他、口から入るものには、
加工食品やジャンクフードには防腐剤、添加物、着色料、人工甘味料といった異物も含まれており、
食べものは体に良い面ばかりがマスコミで強調されていますが、あまり良くない面も当然あります。
最近流行っている小食あるいは食べない健康法は、
こうした栄養素のデメリットが取り除かれることで、体調がよくなる場合もありますが、
違う見方をすれば、事故や対人トラブルを気にして、学校や職場も行かず、安全な家で引きこもっているようなものです。
居心地は良いかもしれませんが、長い目で見れば、自分自身にとっては、メリットはありません。
とにかく、こうした栄養素をうまく吸収・代謝・排泄させることが重要というわけです。
かゆみとの付き合い方
こんにちは、院長の栗木安弘です。
かゆみのない人は世の中にはいません。
かゆみは何の前触れもなく、突然襲ってきますが、
食後、体温が上昇した時、夕方~夜中にかけて多いのではないでしょうか。
世間一般、皮膚科の世界では、
「掻いたらダメ」
「掻くから治らない」
「掻くのが癖になっている」
という考え方が常識のようですが、
かゆいから掻くわけで、掻いたらとても気持ちいいので、かゆみを我慢することなど到底できません。
それに「掻くな」と言っている本人が掻いているというおかしな風潮にもなっています。
かゆみの原因はさまざまで、頑固に続く場合には、
食べたものに対する異物反応としての症状(アレルギー)→取り除きたいという動作がかゆみである
鉄欠乏性貧血、鉄不足
発汗、かぶれ、体温上昇、アルコール、カフェイン、糖質過剰
などがあげられ、心当たりのある食べものを控える、ヘム鉄内服など行うようにしております。
私自身、糖質過剰や卵やカフェインでかゆみが出るような感じがします。
かゆみはある程度、生理反応であり、完全には止めることはできませんが、
不快にならない程度まで抑えることは可能だと考えています。
ただし頑固な場合には体内の異常のサインとして捉えることも必要かと思われます。
ぬり薬<栄養療法
こんにちは、院長の栗木安弘です。
栄養療法とは、
食事の見直しとサプリメントとを使った病気へのアプローチですが、
薬=治療がベストと思われている医師のとっては、栄養療法は素直の受け入れられないことが多いようです。
まして、皮膚科の場合には、外からぬることが基本であるため、
皮膚科医も患者さんも、
食事だけでなく、胡散臭い高いサプリメント飲んで、皮膚をよくするという発想はあまりないかもしれません。
学会やプライベートで皮膚科医の先生方にお会いして栄養療法や栄養素の話をしてもあまりピンとこないことも多いようです。
私も栄養療法に出会うまで、
学会講演を聴いたり、論文や皮膚科雑誌を読んで、
効果的なスキンケアのやり方、ステロイド外用剤の使い方を模索していましたが、
結局外から何かをぬるということを事細かに指導しても患者さんにとっては続けられないし、ぬれば完治するものではありません。
ただかゆみや早く症状を抑えたいという点ではぬり薬も必要ですが、
いつも述べているように、慢性に続く皮膚疾患の場合には、ぬり薬を中心にせず、
治療のウエイトを主に内面からの栄養アプローチにする方が安全ではるかにメリットが大きいかと思われます。
naze?
こんにちは、院長の栗木安弘です。
長年医療の世界におれば、なぜ病気が治療してもよくならないのかを悩むことも多々あります。
皮膚科においても、
アトピー性皮膚炎がぬり薬を使ってももよくならない
乳児のかゆみや湿疹が繰り返し
じんましんの内服が永遠と続いている
魚の目、巻き爪の繰り返し
血糖値は問題ないが、糖尿病の足の潰瘍が治らない
皮膚がんの手術をしたのに転移した
原因不明の湿疹やかゆみが続いている
などなど、よくならない患者さんを経験すれば、
治療の限界や西洋医学の無力さを痛感する時期が誰しもあるかもしれません。
「なぜよくならないのか」といった壁にぶち当たった時には、
医師として、
①保険適応の漢方薬を選択する
②代替医療といった何かほかの方法を模索する
③仕方ないとあきらめる
などの選択肢がありますが、
③の場合、割り切って、決められた治療さえしておれば、立場上は問題ないと思われる医師もおられますが、
果たして医師として患者さんを治すことのやりがいはあるのでしょうか。
栄養療法に取り組んでいる医師の多くは、
患者さんを何とか良くしようとあれこれ模索した結果、この治療法にたどり着いた医師も少なくありません。
アトピーは存在しない
こんにちは、院長の栗木安弘です。
よく考えてみれば、病気というのはこの世に存在しているものではありません。
糖尿病、高血圧、がん、貧血、高脂血症、リウマチは病気の名前だけであって、
こうした病気になっている人(病人)が存在しているだけとなります。
アトピー性皮膚炎(以下アトピー)も同様です。
アトピーという病気になっている人が世の中にいるだけです。
じゃあどんな人がアトピーになっているかと言えば、
皮膚に、赤い、ブツブツ、かゆい、ひび割れなどさまざまな変化を起こしている人(+経過や検査結果)だと言えます。
アトピーに対してはステロイドや保湿剤は保険診療上は間違いではありませんが、
いつも診療で述べていますように、起こしている皮膚の変化には対応していません。
皮膚の変化は、“皮膚は内臓(栄養)の鏡”
と呼ばれるように、内臓および皮膚の栄養代謝障害が原因となりますので、
個々の変化を詳しく観察し、体内の栄養代謝障害を血液検査の深読みで確認します。
最近TARCと呼ばれるアトピーの炎症の程度を判断する血液検査がよくおこなわれていますが、
TARCもアトピーという病気の評価であり、
病人の評価は一般的な血液検査により、詳しく判断することが必要となります。
診断治療というのは、医学の基本的な方程式ですが、
この方程式が、逆に病人ではなく、病気しか診ない皮肉な状況を作っている気がします。
職業病
こんにちは、院長の栗木安弘です。
昨日ダウンタウンの番組で職業病について紹介されており、
プロボウラーはスイカをボウリングの玉を持つようにつかむかどうか、
プロレスラーに寝起きでスリーカウントをして、すぐ起き上がるかどうかなどが検証されていました。
私は皮膚科医なので、プライベートでも電車の中、地下街、ショッピングセンターなど、
人が多い場所ではついつい他人の皮膚の状態が目に入ります。
栄養療法を学ぶ前は、道行く人の皮膚の異常をチラッとみては、
「○○病、治療は△△外用剤」
「ここに大きなイボがあるなぁ。治療はこれこれがベスト」
「えらい場所にホクロができている。手術はこうやってしよう」
といった病名や治療プランが頭のなかから自動的に湧いてきました。
しかし栄養療法を学ぶようになってからは、
「この皮膚の状態は鉄が足りない」
「皮膚が赤くなっているのでビタミンB群が少ない」
「耳切れ、ジクジクだから亜鉛かぁ」
と栄養状態を予想するようになりました。
学んできたことや知識の違いにより、皮膚を診る目がこんなに変わるかと、自分でも驚いています。