栄養の勉強会
こんにちは、院長の栗木安弘です。
毎月1回、栄養療法の勉強会をおこなっています。
参加者は、医師や歯科医師、栄養士さん、歯科衛生士さん、鍼灸や整体師さんなど病気や健康にかかわる仕事をされている方々です。
おもに栄養の基本、食事に関すること、サプリメント、症例検討などで、
もうかれこれ4~5年は続いています。
栄養療法を学ぶようになって、
こうした勉強会や栄養セミナーを通して皮膚科以外の知識を学ぶこと、
また皮膚科の先生以外と交流させていただくと、
とても勉強になり、日々の診療に大いに役立ちます。
今までの自分がそうであったように、
皮膚科は、皮膚や皮膚疾患の勉強ばかり、皮膚科医と交流するばかりでしたが、
自分の世界を広げ、視野を広めることが重要だと栄養療法を通して学びました。
皮膚の変化と栄養
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚の変化というのは、大袈裟に言えば体全体の栄養のあらわれであると確信しています。
体内の栄養障害が皮膚の栄養障害を生じ、皮膚の脆弱化がさまざまな変化として教えてくれます。
いつも申し上げているように、皮膚の変化を簡単に表現して大まかに分ければ、
かゆみ、ぶつぶつ(丘疹):鉄不足
ジクジク(湿潤)、ひび割れ、色素沈着:亜鉛不足
赤味(紅斑)、毛細血管拡張:ビタミンB群・C・E不足
カサカサ(乾燥)、ゴワゴワ(苔癬化):タンパク質・ビタミンA・D不足
という傾向があり、それぞれが重複して皮膚の変化としてあらわれます。
たとえば、よくある湿疹(アトピー)というものは、
教科書的には、紅斑、丘疹、湿潤、苔癬化など多様性変化と定義されますが、
皮膚をじっくり診て、触れて、その変化や分布を確認することで、
どういった体内のどの栄養素が不足しているかを推測することが可能です。(確認は採血でおこないます)
このことは湿疹だけではなく、ニキビやフケ症といったほかの皮膚疾患にも当てはまります。
また不足した栄養を補給するだけではなく、栄養が不足した原因(食生活や消化吸収など)も追究して対応しなければなりません。
皮膚科診療のほとんどは皮疹を診て診断・治療がおこわれますが、
一旦〇〇病という診断がなされれば、
「毎回同じぬり薬」
「スキンケアばかり」
「皮膚を診てくれない、触らない」
「原因不明でぬり薬を続けなさい、と言われた」
といった不満も患者さんからお聞きします。
やはり病名だけにとらわれず、皮膚の変化にある背景や原因にまで踏み込んだ皮膚科診療をしないと、皮膚科としての値打ちや患者さんの満足度もアップしないかと思われます。
ホームページリニューアル
甲子園栗木皮膚科クリニックのホームページがリニューアル致しました。
これを機会に院長ブログもこちらの方に引っ越しをいたしました。
引き続き、
栄養療法
皮膚と栄養に関する情報
皮膚科診療の問題点
セミナー参加や近況
などをご紹介する予定です。
世間一般には、
「バランスよく食べている」
「野菜を多くとっている」
「皮膚と栄養はあまり関係ない」
思われておりますが、このブログを通して正しい食事や栄養の知識、栄養と病気の関わりを知っていただき、
皮膚もまた、ぬり薬やスキンケアだけでなく、体の内側から栄養ケアしていく必要があることを理解して頂きたいと思います。
日にちぬり薬
こんにちは、院長の栗木安弘です。
多くの方が経験されていると思いますが、
湿疹や虫刺され、擦り傷、やけど、縫い合わせた傷
などは時間ととものゆっくりと元の皮膚に戻っていきます。
これを皮膚の作り変え、あるいは治癒力、ホメオスターシスといいます。
皮膚の作り変えは年齢や個人差があって約1~6カ月くらいはかかりますが、
出来るだけくスムーズに行うことが皮膚疾患の改善やアンチエイジングにつながり、
それにはぬり薬や高級な化粧品やクリームではなく、タンパク質をはじめビタミンやミネラルといった栄養です。
皮膚科を受診される方で、
「すぐによくならない」
「診断がはっきりしない」
「原因不明、治療法がない」
といわれる場合でも、とりあえず皮膚は内臓(栄養)の鏡として捉えれば、
栄養療法により、体内環境をよくすることで皮膚もゆっくりとよくなっていく方も大勢おられます。
今年の花粉症
こんにちは、院長の栗木安弘です。
またこの季節がやってきました。
花粉症歴は約15年くらいで、
抗アレルギー剤をいろいろ試したり、漢方薬を服用したり、耳鼻科のお世話になっても、
鼻水やくしゃみが止まらない、夜中に両方の鼻が詰まって死にそうになったこともありました。
サプリメントを飲みはじめても、劇的には改善しにくい自身の頑固な花粉症でしたが、
今年は、EPA(エイコサペンタエン酸:1000mg/日以上)、ビタミンD(5000IU/日)を加えているのと、度数の強いアルコールを減らしているせいもあって、それほどひどい症状は出ておりません。
加えて、腸内環境改善対策で今年の花粉症を乗り切ろうかと思います。
かゆみと栄養
こんにちは、院長の栗木安弘です。
かゆみというのは、アトピーや湿疹、じんましん、水虫以外の健康な方にも多少は生じる症状であるため、
かゆみを全くなくすということは現実的には不可能でしょう。
それでもかゆみをできるだけ少なく快適に過ごせるように、皮膚科医は飲み薬やぬり薬を使用します。
ただこうした対策を行っても頑固なかゆみが続き、夜が眠れない、仕事や勉強に集中できない、といった方も大勢います。
栄養的に言えば、
糖質過剰、鉄不足(コラーゲン不足)、マグネシウム不足などでかゆみやヒスタミン遊離促進が分かっています。
つまり裏を返せば体内の栄養障害によってかゆみというサインが出ているというわけです。
昔から皮膚は内臓の鏡といいます。
頑固なかゆみの原因は内臓の病気ということは教科書的には知られていますが、
栄養障害(病気につながります)という異常もかゆみを生じます。
そのため十分な栄養補給はかゆみの予防にもつながります。
最近、アトピーのかゆみを抑える新薬なども注目されており、かゆみを抑える対策も必要でしょうが、
腹痛の方に痛み止めだけ打つように、安易にかゆみを止めてしまうのは体に起こっている異常を見逃す危険性につながります。
毎回夢の新薬(→いつやねん)という記事を見るたびに、医学は本来と違う方向に向かっている気がしてなりません
外用は面倒
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚科医であるにも関わらず、外用療法は面倒だなぁと感じます。
広範囲の場合、または背中や頭など患部がみえない場合はなかなかぬれないし、
仕事や育児が忙しい場合にも継続は難しいですし、
手足や顔などはべたついて無理だと思われます。
自分自身がベタベタぬるのがあまり好きではないので、患者さんには無理にはすすめられませんが、
実際は治療方針として決められており、多くの皮膚科医は、細かい外用指導をおこないます。(できもしない場合もあります)
確かに細かい外用指導も必要な場合もありますが、
私自身は、
手の届く範囲でぬる
痒みや赤味の強い部位だけぬる
カサカサや赤味がなくなればぬらなくてもいい
などできるだけ患者さんの日常生活に負担の少ない外用指導をおこなうようにしております。
皮膚科=ぬり薬が世間の常識ですので、患者さんの多くは、
「一発で治るぬり薬」
「効果的なぬり薬のぬり方」
「正しい?スキンケア指導」
を皮膚科医に期待されますが、ぬるというのは感染症以外は、あくまで対症療法です。
やはり慢性疾患や難治性の場合、外用だけではなく、十分な栄養を補給をおこない、
内臓および皮膚の機能を高めることが、かゆみや皮膚のトラブルの改善につながります。
こうした考え方が皮膚科医のなかでもっと理解されれば、よくなる患者さんも増えるのではないかと思います。
あぁ、しもやけ対策
こんにちは、院長の栗木安弘です。
毎日寒い日が続いています。こんな気温の低い日には“しもやけ”の子供さんが受診されます。
しもやけは以前にも説明しましたが、寒暖差による虚血-再灌流による炎症が原因で、皮膚の血管や血流に異常があるわけです。
教科書的には、
保温、ビタミンE内服、血管拡張剤内服、漢方薬が記されていますが、
ビタミンEは保険薬は合成ビタミンEなので有効ではありませんし、血管拡張剤や漢方薬は子供は適応がなく、飲めません。
そのためかゆみ対策によるステロイド外用や気休め程度のヘパリン類似物質外用となります。
しもやけという子供によくある身近な疾患であるにもかかわらず、実際は有効な治療法がありません。
しもやけの生じる仕組みから考えれば、タンパク質、鉄、ビタミンEなどの栄養補給で、ヘム鉄を飲んで冷え性やしもやけが出なくなった方もおられますが、子供にわざわざ自費のサプリメントを買ってまで治療する方はほとんどおられません。
しもやけだけではありませんが、しもやけをみるたびに皮膚は内面からのアプローチが必要だとつくづく思います。
学会でいつも思うこと
こんにちは、院長の栗木安弘です。
先週の土曜日は学会発表でした。
以前は上司に言われて嫌々していた学会発表は今では半分趣味みたいな感じですが、やはり発表直前は緊張します。
しかし日常生活では味わえないこのドキドキの緊張感が何とも堪らないこともあります。
以前は緊張で発表後は胃痛がありましたが、ここ数年、発表前にビタミンB群・C、ナイアシン、グルタミン(今回はグルタジェニックス)を飲むようにしますと、発表後の胃痛は起こりにくくなりました。
それにしても学会でいつも思うことは、
①若い女性の先生の発表が多い。
特に地方会はある意味、研修医やレジデントの発表デビューの場です。私も初めての発表は地方会でした。
教授や助教もどんどん発表をしてほしいですね。
②棒読み原稿
原稿を読んでいるだけの発表ばかり。スライド見て自分の言葉で話す方がよいかも。
③珍しい疾患、治療に難渋した症例が多い
大学病院、一般病院の先生方が多いのでこうした傾向が強いのは仕方ないかもしれませんが、
アトピー、じんましん、にきびなど日常的によく診る疾患も取り上げてほしい。
④討論はいつも…
病理組織がどうとか…、治療の選択がどうとか…今後検討しますとか…、質問も長いし答えも長い。
⑤死亡症例は発表しない。
いくら珍しい疾患や難渋した症例でも最後に亡くなったら、治らなかったのですから、やはり倫理的にしない方がいいのでは…
などなにかこうエビデンス中心でマンネリ化した感じがあります。以前も申し上げましたように、原稿禁止、スライドもなし(紙芝居みたい)形式や患者さんのためになれば身近な疾患、予防、食事や栄養といったテーマも取り上げるのがよいかもしれません。
血液検査は奥が深い。
こんにちは、院長の栗木安弘です。
血液検査は一般的には基準値を目安に良し悪しが判断されます。
基準値よりも高い場合には、肝臓が悪い、コレステロールが高い、尿酸が高い、糖尿病と判断されます。
逆に基準値に入っておれば、問題なし、健康、Aランクなどと評価されます。
栄養療法に出会うまで私もこうした見方をしていました。
しかし栄養療法を勉強するようになって、血液検査というのはとても奥が深いなぁと感じるようになりました。
栄養療法における血液検査のいくつかを列記したいと思います。
①そもそも基準値は科学的根拠が乏しい。
よく考えれば誰を基準に基準値が決められているのか分からない。
健康な方が基準値であるが、健康の定義が曖昧。
②基準値の幅が広すぎる
フェリチンやALPなどは、100~300くらい離れた基準値であったりします。(誰でも基準値に入ります)
各検査会社、健診により基準値はバラバラ(これも知らない医師が多い)
③さまざまな要因で上下する。
これも知らない医師がほとんです。
炎症反応が強いと、フェリチンは高値、血清鉄は低値、血清銅は高値となります。
ビタミンB6不足であるとAST、ALTが低値になる。
溶血でAST、ALT高値となる。などなど他にもいろいろあります。
④一つの項目だけでは判断出来ない。
一般的には血清鉄低値=鉄不足ですが、実際は炎症による要因もあります。(他項目で判断)
考えれば考えるほど悩みますが、基準値以外の見方を理解すればいろいろな病態が理解できます。
もっと深く知りたい医師に方はこちらまで申し込んでいただければよいかと思います。