皮膚の変化
こんにちは、院長の栗木安弘です。
日々、診療をしていますと、
皮膚はつくづく栄養状態を反映する臓器であると強く感じます。
拡大鏡を用いて、皮膚の変化を詳細に観察しますと、
この方はどういった栄養が不足しているかがある程度予想が出来ます。
栄養状態の確認は血液検査を行い、客観的に判断しますが、やはり予想通りの結果となることが多いようです。
必要な栄養はサプリメントを用いて投与しますが、皮膚は広範囲であり、細胞の入れ替わりには数ヶ月かかるため、消化管や精神疾患に比べて、栄養療法の効果はすぐには現れません。根気よく続けて頂くことで、皮膚が徐々に修復される方が多いようです。
ほぼ99%の皮膚科医は、皮膚にあらわれた変化を病気として診断しての薬物中心の治療を行います。私自身は、診断だけでなく、実際目の前にある皮膚の詳細な変化をしっかり観察することで、その変化がどういった機序で生じているかを、栄養療法を学ぶことで、自分なりに理解するようにしています。そして体に負担の少ない栄養療法を出来るだけ長く続けて頂けるように、毎回丁寧な説明を心がけるようにしています。
休肌日
こんにちは、院長の栗木安弘です。
たまには皮膚のことも書かないといけませんので、
スキンケアについて少し述べたいと思います。
クリニックでのスキンケアの指導は、
皮膚の汚れを落として保湿を行う基本は変わりませんが、
①石鹸やボディソープは少なめで、組成成分の単純なもの使用
②耳の後ろ、陰部、脇、足など匂う部位だけ洗う。
③シャンプーも少なめに1〜2週間に一回
④ゴシゴシこすらない
④乳液やクリームは少な目に薄く使用する
と石鹸シャンプー・化粧品会社のコマーシャルとは逆の方針でおこなっています。
皮膚は、化粧品やスキンケア商品、塗り薬、ホコリや花粉、汗、皮脂、紫外線などさまざまな刺激がある過酷な臓器ですので、出来るだけ余計なものをつけない、残さない方が皮膚トラブルは少なくなります。また季節によってもスキンケアを変えていただくようにしており、冬はこうしたケアをもっと控えていただくようにしています。
皮膚には約1兆個という数の常在菌が住んでおり、こうした菌は皮膚の、バリア機能、保湿機能、抗菌効果を持っています。洗い過ぎ、塗り過ぎ、擦り過ぎ、薬物塗布連用は皮膚の常在菌にとっては住みにくい環境となり、皮膚の機能を低下させる要因となります。
風呂に入らない、シャンプーしない、ぬり薬やスキンケアなしとは言いませんが、来週から長い休みが始まります。この機会を利用してこうしたケアで肌を休ませてあげたらいかがでしょうか。
血液検査は奥が深い
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚を始め、さまざまな不調や症状、精神疾患、不妊、婦人科疾患、生活習慣病、がんなど病気の多くは栄養代謝異常が背景にあると考えていますので、診察時には、クリニックで血液検査を行うか、他院で行われた血液検査結果や健康診断結果があれば持参して頂くようにしております。
基準値からの判断は病気の見方なので、基準値内に入っておれば、医師でも患者さんでも、
「大丈夫」「健康」「治療はうまくいっている」と判断できます。
病気の診断や緊急処置の場合は基準値での見方でも構いませんが、各検査項目が体内の生化学的な代謝成分であることを理解すれば、深読みすることで、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン・ミネラル等の代謝異常が多くの方に認められるのが分かります。
さらに血液検査項目は、炎症、脱水、軽度溶血という影響で、本来の数値を正確に示さないということも理解しなければなりません。栄養アプローチを行うことで、炎症、脱水、軽度溶血がなくなってくれば、本来の値が判明してくるため、経時変化を見ることも重要です。
「これが正解」「正しい答え」のない血液検査の見方ですが、多くの疾患の病態改善に貢献できるため医療者にはぜひ理解して頂きたいと思います。
血液検査の読み方のセミナー
https://www.mssco.jp/pdf/basicseminer_2019804.pdf
消化吸収と皮膚
こんにちは、院長の栗木安弘です。
専門性が高くなればなるほど、
皮膚は皮膚科
消化吸収は消化器内科
という感じで臓器別あるいは疾患別の対応となりますが、
皮膚は内臓(栄養)の鏡という観点から考えれば、皮膚科医も胃腸や消化吸収の知識や対策が必要となります。
栄養療法を学ぶようになって、貧血や肝機能だけでなく、特に重要視していることは栄養の入り口であるところの消化吸収となります。サプリメントが効く効かない差はいくつかありますが、やはり消化吸収が悪い方は栄養療法の効果が乏しいと感じます。
皮膚の変化から必要な栄養素を選択するだけでなく、可能であれば、口腔ケア、ピロリ除菌、胃酸分泌、腸の機能回復や抗炎症、便秘や下痢、腸内環境の改善などを一緒に行うことが、皮膚だけでなく体全体を根本的によくするポイントとなります。
栄養療法をご希望や熟知されている方はこうした部分の説明は理解されますが、通常は、皮膚科医が専門外の消化吸収のことを説明しても説得力がなく、また高額な消化吸収改善のサプリメントをお勧めしても積極的に購入される方はそれほどおられません。しかし、それでも必要なことなので毎回しつこく説明させて頂きます。
ニキビで血液検査
こんにちは、院長の栗木安弘です。
ニキビで血液検査を行う皮膚科はほとんどありませんが、
クリニックはあらゆる皮膚の病気を栄養の問題として捉えていますので、
よくならないニキビに関しては、血液検査してその原因を見つけていくようにしています。
ニキビの方の皮膚を詳しく見ると、白色丘疹(面ぽう)、紅色丘疹(炎症)、紅斑(脂漏)、毛細血管拡張(酒さ合併)という変化を認めます。各皮膚の変化が栄養的にどういった機序で生じるかを理解して、ある程度栄養状態を予想します。皮膚は内臓(栄養)を反映しますので、その確認のために血液検査をさせていただきます。
ちらっと見て「ニキビです。塗り薬を処方しておきます」は楽ですが、
ニキビという皮膚の細い変化の水面下では体内の栄養の問題が生じていると考えれば、ニキビに対する対策は、洗顔や塗り方の指導だけでなく、食事の見直し、サプリメントによる栄養補給、消化吸収や貧血対策なども必要となります。
お手軽なイメージがあるニキビですが、
「ニキビがよくならない」
「塗り薬が合わない、乾燥する」
「塗ってましだが止めると再発」
「ニキビ痕が気になる」
「予防したい」
「副作用のないニキビ治療」
をご希望の方は、体の内側に注目した栄養療法をお勧めします。
ビタミンCの知識
こんにちは、院長の栗木安弘です。
たまには栄養のことも書かないといけませんね。
ビタミンCは抗酸化作用やコラーゲン合成など体にさまざまな効果が知られていますが、多めに摂取しなければその効果は発揮できません。
日本のビタミンC所要量は100mg/日ですが、栄養療法で使用する場合には2000mg以上/日は必要とします。(個人的に無制限だと思います)
自身の経験でもビタミンCを大量摂取した場合、皮膚の乾燥も少なくなり、すべすべした感じになります。
保険適応のシナールやアスコルビン酸でも構いませんが、シナールは錠剤なので飲みにくい、アスコルビン酸は味が酸っぱい、というデメリットがあります。また栄養代謝を考慮すれば、ビタミンCの効果を助けるビタミンPやαリポ酸が含まれている方が効果的です。
ビタミンC不足は血液検査では評価は難しいですが、ビタミンB群同様に消費が激しいため、かゆみ、乾燥、シミ、ニキビ、風邪、ストレス、便秘、炎症症状の強い方、倦怠感のある方は、常に必要な栄養となります。
サプリメント外来
こんにちは、院長の栗木安弘です。
ぬり薬やレーザー・美容処置中心の皮膚科では、サプリメントは珍しいとは思います。
皮膚も含めて、体というのは日々の食事や栄養でつくられます。
ただし中には、食事で得られる栄養だけでは十分な機能(自然治癒力、恒常性)が保たれない方もおられ、そういった方は、体調不良や不定愁訴、精神疾患、皮膚トラブルを生じます。こうした症状を改善するには効率よく栄養摂取のできるサプリメントが必要となります。
サプリメントについては、
「科学的根拠が乏しい」
「肝臓が悪くなる、取りすぎると蓄積したり過剰症」
「そんなの飲まなくてもいい」
という理由の医師も多いようです。また皮膚科を受診される患者さんの多くは保険適応の薬(ぬり薬)を希望されることがほとんどです。
たかが皮膚されど皮膚です。
皮膚はなにかをぬっておればいいのかもしれませんが、それだけでは満足されない方、よくならない患者さんには、きちんとした説明のうえ、サプリメントを用いた栄養療法をすすめています。
サプリメントは誤解が多いようですが、私自身はもう10年ほどこれで健康に過ごさせていただいています。
七つの会議
こんにちは、院長の栗木安弘です。
木村拓哉主演の「マスカレード・ホテル」もよかったけど、
こちらも見応えのある映画でした。
一応ミステリーものであまり内容は詳しく書けませんが、
ストーリーもよかったですし、それ以上に俳優さんが個性的で、メインキャストの野村萬斎、香川照之、及川光博(ミッチー)がいい味を出していてぴったりの役柄でした。
またエンドロールもいい感じで終わりました。
もう一回観たいなぁと思いました。
洋画と違って邦画ってセリフが日本語なので一言一言が心に響きます。
医療と科学
こんにちは、院長の栗木安弘です。
医療というのは、論文や研究といった一応科学的なエビデンスをもとに、
“病気を治す”という大義名分のための、
ある程度のリスクを覚悟した医師特権の合法的行為として考えます。
当然それ以外の行為は自費診療、代替療法や民間療法と言われ、それらに関わる医師は異端者扱いされ、違法行為とみなされる場合もあります。
しかし科学的なエビデンスという割には、どう考えても本来の科学(生化学、生理学、解剖学、免疫学)でない行為もあります。
例えば、鉄欠乏性貧血時に処方される鉄剤は、非ヘム鉄(無機鉄)で、これは胃酸がなければ吸収されません。鉄剤により胃の痛みやむかつきが出た場合、専門医でも胃薬(胃酸抑制剤)を処方します。
つまり、鉄剤+胃薬(胃酸抑制剤)という病名に対する処方は保険適応や治療ガイドラインでは間違いありません。しかし体の代謝から見ればこの組み合わせはあまり効果的ではありません。他にもビタミンB12製剤あるいはカルシウム製剤+胃薬(胃酸抑制剤)も同じパターンですし、SU剤とCa拮抗剤は相反する作用です。
皮膚の機能から言えば、何かを長くぬるということも皮膚常在菌やpHにとっては科学的ではないかもしれません。
論文や研究を重視する医療・医師に対して、栄養療法は本来の科学を重視します。エビデンス中心の学会でこうしたことを唱えれば当然批判や意見がかみ合わないことがしばしばあります。
日々診療をおこなっていますと、栄養療法を併用すれば良くなる可能性がある方は大勢います。病気に対する決められた対応ばかりではなく、栄養と病気の関わりを理解し、サプリメントの有効性も理解していただきたいと思います。
あけましておめでとうございます。
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
今年は5月には年号も変わりますし、
8月には50歳、10月にはクリニック開業10年目を迎える節目の年となります。
また新たな気持ちで前に進んで行きたいと思います。
写真は家の猫です。