高齢者のかゆみ
こんにちは、院長の栗木安弘です。
かゆみを訴える高齢者はよく受診されます。
通常は乾燥肌が原因と考えられており、かゆみ止めや保湿剤の処方がおこなわれますが、
それでもよくならない頑固なかゆみが続くこともあります。
栄養的に言えば、鉄不足がかゆみの原因となり、高齢者の多くに軽い貧血や鉄不足が認められます。
ただ多くの場合、貯蔵鉄であるフェリチンは測定されませんし、(測定しても基準値が幅広すぎで問題なしと判断される)
Hbが低い場合には軽い貧血ということで放置されているケースが多いようです。
鉄不足は食事以外に薬剤による代謝異常も原因と考えられます。
また、かゆみは薬剤性という場合もありますが、現状では中止や減薬は難しいようです。
(薬の添付文書には必ずかゆみという副作用が記載されている)
主治医からは、
「血液検査は基準値に入っているから問題なし」
「治療はうまくいっている」
「内臓は問題ない」
と言われても、
実際、かゆみが強い、皮膚のトラブルで悩まれている高齢者は大勢おられます。
一発で効くぬり薬を皮膚科に期待されますが、やはり減薬、栄養対策をすすめることが必要です。
皮膚は訴える
こんにちは、院長の栗木安弘です。
多くの方々は、
皮膚に何もなければ正常
かゆみやブツブツなど皮膚の変化があれば皮膚の病気
と思われていますし、私自身も以前はそうでした。
つまり、皮膚は正常か病気かだけで判断されることが多いようですが、
実際は病名はつかない皮膚の変化や異常はたくさんあります。(皮膚だけではありませんが…)
自分自身の皮膚をジーとご覧なれば分かりますが、
よくみれば、赤味やブツブツやカサカサやかゆみなど、なんらかの変化は誰でもみられます。
その変化は、ごく一部だけの変化であったり、ルーペや顕微鏡でようやく確認される変化もあります。
ほとんどの人が栄養障害だと捉えれば、大なり小なりこうした皮膚の変化が出てくるのは当たり前です。
皮膚科医の役割は皮膚の病名をつけ、適切な外用指導だけでなく、
目を皿のように、あるいはルーペでじっくり拡大して皮膚を観察し、
皮膚が内臓の異常(栄養)を訴えていることを的確に捉えてやることが究極の役割だと考えています。
そのためにも、皮膚だけでなく栄養や食事、内臓疾患、血液検査などの幅広い知識も必要となります。
かゆみとは?
こんにちは、院長の栗木安弘です。
かゆみというのはなくすことは不可能で、ある程度のかゆみは誰にでもあります。
皮膚というのは内外からさまざまな刺激が一番加わる臓器です。
かぶれ物質、汗、衣類、洗剤、石鹸、化粧品、スキンケア商品、髪の毛、ホコリ、ダニ、虫、空気中の有害成分、紫外線、湿度や温度、気圧、微生物、局所の運動、放射能、電磁波、食事、薬物…などあげればきりがありません。
こうした刺激にいちいち反応してかゆみが出ているのであれば、
一生かゆみが継続するはずですが、
出たり出なかったりしているのは、自己でかゆみを抑えているのかもしれません。
つまり、何らかの刺激や接触でかゆみが生じるのではなく、
かゆみを抑える力が低下した場合、かゆみが生じると考えれば、
やはり刺激や接触に負けない丈夫な皮膚を作ることが必要だと思われます。
かゆみだけでなく、がんや感染症をはじめ、病気というのは、昨日今日に生じたものではなく、
自身の治癒力がかなり低下した結果、発症すると考えた方がよいかもしれません。
皮膚の変化と栄養
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚の変化は、教科書的に細かく分類されていますが、
代表的なものとして、
ブツブツ(丘疹)、赤い(紅斑)、ジクジク(湿潤)、ゴワゴワ(苔癬化)、カサカサ(落屑)、ひび割れ(亀裂)などがあります。
体は食べものからできており、皮膚も臓器の一部と考えれば、皮膚の変化も栄養障害のあらわれとなります。
こうした変化と栄養の関係を分かりやすいようにざっくり分けると、
ブツブツ、かゆみ:鉄不足
ジクジク、ひび割れ、色素沈着:亜鉛不足(糖質過剰)
赤い、血管拡張:ビタミンB群・C・E不足(糖質過剰)
ゴワゴワ、カサカサ:タンパク質・ビタミンA不足
という傾向があり、その多くは混在しています。
例えば、湿疹というのは、湿疹三角(下図)とよばれ、
その変化には、ブツブツ、ジクジク、赤い、カサカサなどの多様性があり、
総合的な栄養障害が原因となりますが、どのあたりの栄養が最も必要かは、
皮膚科医の目から診て皮膚の変化や部位や症状から判断し、血液検査で確認します。
「栄養障害と言われたけど皮膚に何もない」
と言われるかもしれませんが、
肉眼的に確認できないだけで、拡大鏡や顕微鏡レベルや分子レベルといった変化は誰でもありますし、
人によっては、粘膜や髪の毛や爪にあらわれる場合もあります。
アトピー、フケ症、ニキビ、乾癬…など病名にこだわるのも大切ですが、
目に見える皮膚の変化をしっかり診て考えることがもっと必要です。
アトピーと貧血
こんにちは、院長の栗木安弘です。
最近、アトピー性皮膚炎の若い女性がよく受診されます。
あちこちの皮膚科でステロイド外用剤や保湿剤を処方されているにもかかわらず、
よくならない
ぬり薬をやめるとかゆみがでる
よくなったり、悪くなったりの繰り返し
あげくのはてにステロイド内服
ということで受診されるケースが多いようです。
そういった方の血液検査結果をみせていただくと、多くの方が、鉄欠乏性貧血(潜在性鉄欠乏)が認められます。
ヘム鉄はヘモグロビンに含まれ酸素を運んでいきます。また組織鉄は皮膚のコラーゲン形成に必要です。
鉄不足になれば、皮膚の酸素・栄養欠乏から皮膚機能の低下を招くため、容易にかゆみや湿疹が生じますし、
薬の運搬もうまくいかないので治療効果が乏しいことは理解できるかと思われます。
しかし実際の皮膚科診療ではそのあたりは全く注目されず、
ダニやホコリのアレルギー検索と対策
ひたすらステロイド外用、清潔にしてしっかり保湿・スキンケア
ばかりが標準治療として謳われています。
アトピー性皮膚炎をはじめ、がん、認知症、骨病変、消化器疾患、精神疾患、産婦人科疾患などあらゆる疾患は、
まず貧血を改善させることが基本となります。
アトピーガイドライン
こんにちは、院長の栗木安弘です。
先日日本皮膚科学会学会誌からアトピー性皮膚炎ガイドラインの改訂版が届きました。
アトピーガイドライン
前回のガイドラインに少し追加されている項目はありますが、
基本姿勢は、
ステロイド・プロトピック外用(プロアクティブ療法)、TARC測定
保湿剤によるスキンケア
と今までのガイドラインとなんら変わらない内容でした。
やはりアトピー性皮膚炎は完治はできないのでこうしたぬり薬を使った対症療法(コントロール)主ですが、
治療と称しているのに治らないというのもおかしな話です。
そして予想通り、食事や栄養に関する記載も一切なく、
プロバイオティクスについてはエビデンス(科学的根拠)があるとは言い難いとなっています。
これでまた、ステロイドを適切に外用、しっかり保湿といった、
表面だけの皮膚科診療が益々推し進められることになるでしょう。
ガイドラインは同じレベルで治療が受けられるため、あるいは不適切な治療をしないように作られていますが、
私自身は作成した医師の自己満足や保身のためにあるようにしか思われません。
皮膚は内臓の鏡です。
外用剤で抑えつづけることは体内の異常を見逃す危険性もあるでしょう。
皮膚掻痒症
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚に何も出来ていないのにかゆみが生じる疾患をいいます。
かゆみの原因は内臓疾患、肝臓や腎臓、血液疾患、ホルモン異常、薬剤性などがあります。
以前何かの講演会で、乾燥肌によるものが多い、演者は述べていましたが、
私は、皮膚に何も出来ていないのに乾燥肌(カサカサ)はおかしいと思いました。
日常診療で皮膚掻痒症はよく経験しますが、やはり鉄不足が圧倒的に多いです。
血液検査をしてみると軽い貧血か、
ヘモグロビンが正常にも関わらず、フェリチンが基準値内でも低値の方がほとんどですが、
鉄不足=かゆみという認識は医師も患者さんもあまりないため、放置されていることがほとんどです。
皮膚は内臓の鏡と言います。
多くは内蔵の病気による皮膚の変化というイメージがありますが、
病気になる前からすでに栄養障害という異常は誰でも始まっており、その影響でかゆみや皮膚の変化があらわれます。
皮膚が教えてくれる。
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚の変化や状態を診るのが皮膚科診療の基本です。
他の先生はあまりされないとは思いますが、
私は専用のルーペを使って、患者さんの皮膚に顔を接近してよく診察していますが、
これも皮膚の変化を詳しく確認するためです。
以前こうした診療で判断が付かなかった皮膚疾患が判明したこともあって、以後このスタイルで診察しています。
皮膚の変化は非常に多彩です。代表的な変化として、
丘疹(ブツブツ)、紅斑(赤い)、亀裂(ひび割れ)、鱗屑(カサカサ)、湿潤(ジクジク)、苔癬化(ゴワゴワ)、色素沈着があります。
こうした変化の組み合わせを診て、アトピーやフケ症やニキビなど診断しますが、
一方で皮膚も内臓の一部であるため、
その変化の背景には必ず体内の栄養障害があることを念頭に置いています。(栄養障害の確認は血液検査)
栄養療法は不足した栄養素をサプリメントで補給をするわけですが、
同時に栄養障害の原因となる食事の乱れ(糖質過剰)以外に、
消化管、肝臓、貧血といった栄養の吸収・代謝・運搬に関わる臓器の栄養改善も必要となります。
病気の診断も重要ですが、
皮膚科医として詳しく皮膚を診ることで、皮膚の変化を体の異常のサインとして捉えて対応したいと思います。
各論総論
こんにちは、院長の栗木安弘です。
先週土曜日は大阪で皮膚科地方会がありました。
多くの症例発表があり、私もフェリチンと鉄に関する発表をさせていただきました。
いつも学会に出席するたびに発表内容や質疑応答を聴くと、皮膚科だけでなく、学会全体がそうですが、
病理組織診断が正しいかどうか
手術などの治療内容の検討
薬(ぬり薬)をいかにうまく使うか
治療が適切であったかどうか
珍しい疾患
など病気や治療といった表にあるところばかりに注目されているなぁと思います。
その一方で、
病気がなぜ起こるのか?予防法
手術や治療の前の栄養管理
血液検査や基準値について
薬を減らす対策
食事と栄養と皮膚の関わり
などは臨床上は非常に重要なことにも関わらず、こうした発表や検討はあまりされないようです。
それが医学というものかもしれませんが、
各論(病気)だけではなく、もっと総論(病人)についても研究検討してほしいと願っています。
かゆみはつらい
こんにちは、院長の栗木安弘です。
かゆみは何の前触れもなく突然出てきますが、
多くは仕事中は少なく、帰宅して家でリラックスした時によく経験します。
また、食後やアルコール・カフェインなどを摂取した場合、入浴後にもよくあります。
当然何かの刺激物が付着した場合も生じますし、
体内の異常のあらわれとしても生じますが、多くは鉄不足や糖質過剰の方に認められます。
世間一般にはかゆみは、「掻かないこと」が正しい行為のような風潮で、
「掻くのはよくない、掻いたらダメ」と叱咤されている方、患者さんに指導されている皮膚科医も見受けられます。
そのためかゆみを我慢されている方もおられますが、
かゆみ自身もつらいけど、それを我慢する方がもっとつらいような気がします。
私自身も痒かったら掻いていますし、患者さんにも「我慢せず、掻けばよい」と指導しております。
掻いたら悪化する、バイ菌が入ると思われていますが皮膚が丈夫であればそんなことはありません。
それでも掻くのが嫌なら、かゆみ対策として、
冷やす
体を動かす
かゆみ止めを飲む
痛み刺激に変えて紛らわす。(痛みはある程度我慢はできる)
あたりです。
コレステロールや胃酸など本来体に必要な成分が病気の犯人として思われているように、
皮膚科においても“掻くこと”が皮膚が治りにくい原因や悪化因子として考えられていることにとても違和感を覚えます。