しもやけと栄養
こんにちは、院長の栗木安弘です。
この時期はしもやけの患者さんがよく来られます。
しもやけは気温4~5℃、日内気温差が10℃以上になると発症しやすく、通常晩秋から冬に発症します。家族内発症が多いことから遺伝的素因も関与しますが、寒冷暴露による血流低下とその回復能力低下が直接の発症原因と考えられています。つまり寒い時期の急激な温度変化に血管がうまく適応できず局所の血行障害が生じるためにおこります。
特に子供はこの温度差による血管の適応能力が未熟なためによく起こります。
栄養学的には虚血~再灌流と言って温度差による血管の急激な収縮・拡張が活性酸素を発生し炎症を起こすことが原因とされ、活性酸素の除去の代表であるビタミンEがよく勧められます。また鉄不足の方も冷え性やしもやけが起こりやすくなります。
治療は保温とビタミンEや漢方薬や血管拡張剤(保険適応外)の内服、ヘパリン類似物資の外用やかゆみや炎症が強い場合にはステロイド外用とされています。しかしビタミンEは保険薬は合成であるため効果は期待できず、子供に関しては漢方薬や血管拡張剤は飲めないため、結局は表面だけの対応となります。しもやけの発症機序から考えれば本来は栄養アプローチが有効だと思われます。
カサカサ対策
こんにちは、院長の栗木安弘です。
たまには皮膚科のことも書かなければなりません。
毎年この時期から、皮膚の乾燥を訴える患者さんがちらほら受診されるようになります。
一応最近、マスコミ等で賑わせているヒルドイドを処方しますが、
栄養療法実践皮膚科医としては、皮膚のうるおいに必要な食事や栄養の話に加え、
できるだけ顔や体を洗いすぎないように指導をおこなっています。
具体的には、
①合成洗剤はほとんど使わない。
使っても純石鹸で脇、陰部、耳の後ろなど臭う部位だけ使用する。当然ゴシゴシしない。
②リラックス効果はありますが、熱いお風呂や長風呂は毎日は控える。
③シャワーの水圧を避ける。(意外と多い)
④衣類に残った洗濯用合成洗剤や柔軟剤なども乾燥を生じます。
などに注意していただきます。
スーパー銭湯や温泉に行き、湯船に浸かりながら洗い場を見ていますと、泡まみれでゴシゴシの方ばかりです。
世間一般に体の汚れを落とし、保湿をするのがいいように言われていますが、
洗う→乾燥かゆみ→予防のためにぬる→洗う→乾燥かゆみ→ぬる→…
の繰り返しで、スキンケア関連会社は儲かりますが、永久にこれが続きます。
しっかり洗って、保湿すると気持ちがいいという方は一向に構いませんが、
乾燥がひどい、ぬるのが肌に合わない、保湿がベタベタする、外用が面倒という方はシンプルに洗浄剤は使わない・洗わない・シャワーなしという選択肢も考えていただければいいかと思います。
ヒルドイドの問題
こんにちは、院長の栗木安弘です。
ヒルドイドの美容目的での乱用が最近ニュースとして取り上げられています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171030-00000049-san-hlth
美容雑誌での評判記事やSNS・インターネットの口コミをみて、
美容液や保湿クリームの代わりにヒルドイドを希望される患者さん多くが受診し、
保険診療で処方されるケースが相次いでいます。
処方する皮膚科医にも責任の一端があるかもしれませんが、
個人的には、保湿を推奨してきた皮膚科全体の責任は大きいかと思われます。
乾燥肌、アトピー、ニキビ、フケ、かゆみや食物アレルギーの予防で、保湿の重要性を強調し、治療の一環として皮膚科全体で決められておれば、
「保湿をすればかゆみがましになる」
「食物アレルギ-やアトピー予防で」
「乾燥を防ぎたい」
と患者さんから言われれば、当然皮膚科医は断る理由がありません。
一応クリニックではこうした患者さんには、処方制限や、あくまで薬ということ強調し、必要であれば使用し、よくなれば中止するように指示しております。
乱用により、医療費の圧迫もさることながら、私自身もっとも懸念していることは、ヒルドイドをはじめぬり薬を長期ぬることによる軽皮感作(アレルギー獲得)です。
長期間皮膚に塗布するということは、ヒルドイドをはじめさまざまなぬり薬に含まれている薬物、添加物、界面活性剤、保存料にアレルギー反応を起こす可能性もあります。
こうしたケースが今後増えれば、他の薬や化粧品やクリーム、食品などにもアレルギーを生じる可能性も出てきます。
やはりぬり薬はほどほどにし、いつも言っているように、本来の皮膚の代謝である内面からの保湿や治療(栄養)アプローチを皮膚科医をはじめ多くの方が理解して実践すべきであると思われます。
皮膚が弱い
こんにちは、院長の栗木安弘です。
かぶれ、手荒れ、金属アレルギー、アトピー、乾燥、かゆみ・湿疹、各感染症、
などすべての皮膚トラブルは、おおざっぱに言えば、皮膚が弱くなることが原因です。
皮膚が弱いと本来の機能である皮膚バリア機能や免疫機能が低下します。
ですから皮膚本来の機能を取り戻し、皮膚を強くすることが重要ですが、
皮膚が弱いということなどは科学的に証明することは不可能で、
多くの場合、皮膚強くするという対策ではなく、外から加わる刺激やアレルゲンばかりを追究・除去、そして皮膚表面に何かをぬって守ろうという発想しか皮膚科医にはありません。
皮膚の本来の機能を取り戻し、皮膚を強くするためには、
栄養療法の創始者であるライナス・ポーリングが提唱したような、至適量の栄養補給をしなければなりません。
至適量とは、各組織や臓器が本来の機能や治癒力を発揮する栄養量であり、通常は食事や体内で生合成される栄養量では不十分であると言われています。
ポーリングは精神疾患における脳内の至適量について主張しましたが、
私自身は皮膚も同様だと確信して、サプリメント補給による栄養療法をおすすめしますが、「皮膚はぬり薬」というイメージや、栄養が皮膚に至る経路(胃腸、肝臓、貧血)に問題ある場合も多々あり、皮膚を根本的に治すには時間も費用もかかります。
診療ではサプリメントばかりすすめていることが多いかもしれませんが、
保険適応の薬(ぬり薬)は対症療法ばかりです。
皮膚科医として、ぬり方をはじめ皮膚科薬の使い方・工夫、美容処置なども必要ですが、やはり健康で美しい皮膚や体を取り戻すためには、まず栄養療法が必要なアプローチだと確信しています。
2分診療
こんにちは、院長の栗木安弘です。
アトピー性皮膚炎患者の約30%が、平均2分以下の診察時間であるという報告があります。
http://newswitch.jp/p/9828
診察時間が短いのが悪いというのではありませんが、
これでは納得いく診察は難しいかもしません。
医療の基本が診断→治療ですので、
治らないアトピー性皮膚炎と一旦診断されれば、お決まりのような治療が永遠と続きます。
まぁ長年のアトピー性皮膚炎の患者さんは、
最初から皮膚科医には治せる期待は抱かず薬だけもらえればいいという患者さんも少なくありませんし、 皮膚科医もガイドラインで決められたステロイド外用剤を処方すれば診察時間も短くすんで、その他多くの患者さんの診察もできます。
皮膚科の診療単価が他の科と比べて低いので、時間をかけ、じっくり診て、きちんと説明する本来の診療スタイルが、逆に経営面に首を絞めるという自体にもなっています。
アトピーという診断も適切な外用指導も必要ですが、皮膚の変化は目に見えます。
アトピーという病名の原因は分からなくても、なぜその変化が生じているかを皮膚科医は考えて、きちんと説明しなければいけません。
皮膚科の“診る”ということ
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚を診るというのは皮膚科医の基本です。
しかし多くの皮膚科医は、病名をつけることをその目的とされているようですが、
私自身は病名だけでなく、
皮膚の詳細な変化の原因を栄養というフィルターを通して追究したいと思っています。
そのため、皮膚を肉眼的に診るだけではなく、
驚かれる方もいるかもしれませんが、自身の顔を患者さんの皮膚に近づけて拡大鏡を用いて診察することもよくあります。
そうやってじっくり診ていくと細かい皮膚の変化が見えてきます。
さらに診るだけでなく、皮膚に触れることで、ぶつぶつ、ザラザラ、冷たい、浮腫み、硬い、など触って初めてわかる変化もあります。
つまり、視診と触診(時に臭いなど)を駆使して、皮膚の詳細な変化を観察しますが、もちろん皮疹の分布状態や問診なども参考にします。
そうやって皮膚を診ていくと、
「あぁこの方、鉄が足りてないなぁ」
「亜鉛とビタミンAが不足気味だなぁ」
「糖質の摂り過ぎだろう」
というのがある程度予想がつきます。(詳細な確認は血液検査)
いつも申し上げているように、
診断(病名)も必要ですが、診断された方は体の栄養代謝異常による皮膚の変化のある方(病人)です。いくら病名に対する決められた治療をしても、
「よくならない」
「薬をやめたら出てきた」
「再発、繰り返し」
という方は、やはり病人自体を治さなければよくなりません。
手荒れと栄養
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚科診療では手荒れはよくある疾患です。
水や洗剤による刺激や職業的(美容師)なことが原因、対策は刺激回避やゴム手袋着用など、
薬はお決まりの、カサカサには保湿剤、ひどい時はステロイド外用剤が、
どこの皮膚科に行っても処方されます。
しかし、よくならない、繰り返し、という方は後を絶ちません。
「保湿が足りない」
「ぬり方が悪い」
という医師もおれば、挙句の果ては、
「家事を止めない、仕事をやめなさい」と心無いことを言う医師もいます。
自身もそうですが、手にクリームや軟膏などは仕事中はべたついてぬれませんし、ぬりたくもありません。
やはり皮膚そのものを刺激にまけないようにすることが大切であると考えます。
そのためには食事の見直しや十分な栄養補給をおこなうことが手荒れに限らず、治りにくい皮膚疾患に必要な対策であると思います。
「手荒れにはどんな栄養が必要?」
それは手荒れという病名ではなく、詳細な皮膚の変化をじっくりみることで分かります。
カサカサ
こんにちは、院長の栗木安弘です。
乾燥肌の状態を分かりやすい言葉で表現すればカサカサです。
カサカサは診ただけで誰でも分かりますが、
よぉーくみればいろいろなカサカサがあるのが分かります。
①毛穴に一致したカサカサ(フケで多い)
②皮膚の溝にそったカサカサ(手荒れで多い)
③毛穴の膨らんだカサカサ(ザラザラ)(子供の乾燥)
④皮膚がゴワゴワにともなうカサカサ(アトピーで多い)
⑤水疱のあとが丸くなるカサカサ(襟飾り状)(手荒れで多い)
⑥ひび割れのカサカサ(かかとに多い)
⑦その他、水虫などのカサカサ
などその細かい変化は拡大鏡で診て、触らないとその判断が分かりません。
栄養的に言えばカサカサの種類によりビタミンA不足、亜鉛不足、鉄不足に分かれますが 部位や重症度により混じっていたり、赤味やブツブツなどいろいろな皮膚の変化も合併していることがほとんどです。
こうして診ていくと、皮膚はまさしく内臓(栄養)のあらわれということを痛感します。
カサカサ=乾燥=保湿剤という方程式で、皮膚科ではヒル〇〇ドが処方されますが、カサカサの背景にはさまざまな体内の栄養の問題が隠れています。
皮膚の変化と栄養
こんにちは、院長の栗木安弘です。
皮膚の変化というのは、大袈裟に言えば体全体の栄養のあらわれであると確信しています。
体内の栄養障害が皮膚の栄養障害を生じ、皮膚の脆弱化がさまざまな変化として教えてくれます。
いつも申し上げているように、皮膚の変化を簡単に表現して大まかに分ければ、
かゆみ、ぶつぶつ(丘疹):鉄不足
ジクジク(湿潤)、ひび割れ、色素沈着:亜鉛不足
赤味(紅斑)、毛細血管拡張:ビタミンB群・C・E不足
カサカサ(乾燥)、ゴワゴワ(苔癬化):タンパク質・ビタミンA・D不足
という傾向があり、それぞれが重複して皮膚の変化としてあらわれます。
たとえば、よくある湿疹(アトピー)というものは、
教科書的には、紅斑、丘疹、湿潤、苔癬化など多様性変化と定義されますが、
皮膚をじっくり診て、触れて、その変化や分布を確認することで、
どういった体内のどの栄養素が不足しているかを推測することが可能です。(確認は採血でおこないます)
このことは湿疹だけではなく、ニキビやフケ症といったほかの皮膚疾患にも当てはまります。
また不足した栄養を補給するだけではなく、栄養が不足した原因(食生活や消化吸収など)も追究して対応しなければなりません。
皮膚科診療のほとんどは皮疹を診て診断・治療がおこわれますが、
一旦〇〇病という診断がなされれば、
「毎回同じぬり薬」
「スキンケアばかり」
「皮膚を診てくれない、触らない」
「原因不明でぬり薬を続けなさい、と言われた」
といった不満も患者さんからお聞きします。
やはり病名だけにとらわれず、皮膚の変化にある背景や原因にまで踏み込んだ皮膚科診療をしないと、皮膚科としての値打ちや患者さんの満足度もアップしないかと思われます。
日にちぬり薬
こんにちは、院長の栗木安弘です。
多くの方が経験されていると思いますが、
湿疹や虫刺され、擦り傷、やけど、縫い合わせた傷
などは時間ととものゆっくりと元の皮膚に戻っていきます。
これを皮膚の作り変え、あるいは治癒力、ホメオスターシスといいます。
皮膚の作り変えは年齢や個人差があって約1~6カ月くらいはかかりますが、
出来るだけくスムーズに行うことが皮膚疾患の改善やアンチエイジングにつながり、
それにはぬり薬や高級な化粧品やクリームではなく、タンパク質をはじめビタミンやミネラルといった栄養です。
皮膚科を受診される方で、
「すぐによくならない」
「診断がはっきりしない」
「原因不明、治療法がない」
といわれる場合でも、とりあえず皮膚は内臓(栄養)の鏡として捉えれば、
栄養療法により、体内環境をよくすることで皮膚もゆっくりとよくなっていく方も大勢おられます。