こんにちは、院長の栗木安弘です。
苔癬化とは皮膚の状態をあらわす皮膚科用語で、写真に示すような皮膚が象のように固くゴワゴワになる状態です。
経過の長いアトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚にもよくみられ、掻破による慢性刺激変化と考えます。
組織学的には、表皮の肥厚と炎症細胞浸潤をみとめ、
慢性炎症により表皮のターンオーバー(新陳代謝)が停止した状態のため、いつまでも治らないというわけです。
栄養学的には、
表皮細胞の分裂には亜鉛、分化にはビタミンA、分裂・分化の命令はコラーゲン、
表皮細胞はケラチンというタンパク質で出来ており、細胞のエネルギーはビタミンB群が主となります。
また長年の重金属蓄積による影響なども考えられます。
苔癬化の治療はステロイド外用、免疫抑制剤が一般的ですが、
元通りのつるんとした皮膚になるまでは医学的には難しいようです。
やはり皮膚をきちんと代謝させる適切な栄養と、
栄養の吸収・代謝・運搬に関連した消化吸収・肝機能・貧血の改善も必要となり時間もかかります。
ステロイド併用によりかゆみや見た目の炎症を抑え、同時に栄養療法を行うことがベストかもしれません。