栄養の至適量
こんにちは、院長の栗木安弘です。
栄養療法でもっとも悩ますのはどのくらいの栄養を摂取すればよいかです。
これだけ飲めば効きますという量は決められておらず、
当然、効き目が出る量には、ある程度の量が必要(ドーズレスポンス)でありますが、
これもやはり個人差があり、栄養療法の世界では“至適量”と呼びます。
例えば、
ヘム鉄であれば2個/日でよく効く患者さんもおれば、
出血や需要増で、なかなかフェリチンが上がらない患者さんもおられます。
またビタミンB群であれば、
クリニックのビタミンB群を2個/日飲むだけで調子のよい患者さんもいれば、
脂肪肝や肝障害、がんの方であれば4個/日以上は必要になります。
ちなみに私は最低6個/日は飲んでいます。
基本的には口から天然物を入れる限りは上限はないようで、
大は小を兼ねるという発想から、できるだけ多く摂取してもらう方が効果も出やすいですが、
金銭的なことを考慮すれば、年齢、性差、体格、基礎疾患、改善したい症状から、
その人に一番必要なサプリメントを絞り混んで、量を決めます。
皮膚科の場合には、
皮膚の炎症の程度やジクジクが強い場合や、
広範囲に異常を認める場合には多めに指導するなど、
皮膚の状態や変化や分布によっても量を調整します。
参考までに病態改善に使用する栄養の量を示しますが、
一般的な所要量(欠乏症を防ぐ量)に比べると、桁違いに多い量となります。
来なくなった患者さん
こんにちは、院長の栗木安弘です。
最近、栄養療法を目的に遠方から受診される患者さんもちらほら増えてきましたが、
やはり栄養療法を行っていても、なかなか良くならず、
結局受診されなくなった患者さんも過去に何人もおられました。
今考えると、
何がいけなかったのか?
どうしてよくならなかったのか?
サプリメントの選択を間違えたのか?
などいろいろ検討や反省すべきことがたくさんあります。
受診されなくなった患者さんの傾向をみると、
やはり幼少時からのアトピー性皮膚炎で、
長年ステロイド外用剤を繰り返し使用し、その後脱ステを行われた患者さんが多かったようです。
皮膚の目立った変化として、
ジクジクした浸出液が出る、かゆみや赤味が強い
ことが多く、やはり炎症のコントロールがうまく行かなかったせいだと思われます。
こうした方は栄養補給よりも抗炎症を優先すべきで、
炎症の原因として、
①アレルギー(遅延型食物アレルギー→消化吸収・腸内環境)
②感染症(ブドウ球菌やカンジダ)
③酸化ストレス、抗酸化力の低下
④何かにかぶれている
⑤油の摂り方
など個々で対応は異なります。
現状のアトピー治療では、
アレルギー体質やアトピー性皮膚炎を完治させる薬(ぬり薬)はなく、おもに対症療法が主体になります。
栄養療法で使用するサプリメントは高額で、すぐに効果も出ませんが、
アレルギー体質や弱った皮膚を変えてくれる安全な武器だと確信していますので、
可能な限り、続けていただけるよう情報提供をしていきたいと考えています。
売るサプリ、効くサプリ
こんにちは、院長の栗木安弘です。
世の中には、薬局、コンビニ、新聞やテレビ広告など、星の数ほどサプリメントが氾濫しています。
サプリメントは食品扱いですので、
「○○に効きます」
「××疾患に効果がある」
という効能表示は法的にはできません。
そのため効果に関しては期待できないというわけですが、
メーカーはさまざまな戦略で売り込んでいきます。
例えば、
芸能人を起用した体験談、改善談
使用前使用後を視覚やアニメーションで訴える(ライ○△プなど)
太陽の恵み、元気ハツラツ、血液サラサラといった間接的な表現
などなど消費者に購買意欲を与え、売り込んでいきますが、
効果なくても、効くとは言っていないので消費者は当然文句は言えません。
すべてのメーカーがそうではありませんが、TVで観るようなよく知られているサプリメントは、
有効栄養成分がごくわずかしか含まれておらず、(完成品にきちんと入っているかも疑問)
その分、宣伝費に膨大なコストをかけている商品が多いような気がします。
効果が出て、血液データに反映させるためには、
原材料にこだわり、栄養素が大量に含まれ、
吸収や体内での代謝がうまくいくような配合の製品で、
作り方やレシピも公開されているようですが、
開発や製造に手間も時間もかかり、儲けも少ないため、大手メーカーはあまり作りたがらないようです。
皮膚科学会での発表
こんにちは、院長の栗木安弘です。
時々栄養療法に関する内容を皮膚科学会で発表をしていますが、
発表している内容ではなく、発表そのものの批判をよく受けます。
「科学的根拠やエビデンスがない」
「持論でしかない」
「思い付きで発表しない」
「公式の学会誌に載るので内容に注意すること」
と言われたことが今までありました。
まぁラーメン屋を開店してラーメンの味を批判されるのではなく、
店そのものにケチをつけられるようなものです。
こうした批判は、
ポーリング博士やホォッファー博士といった栄養療法の先駆者たちも同じような扱いを受けてきたのは知っていたため、
ある程度の覚悟はしていましたが、会場内で多くの医師の前で言われると、公開裁判を受けたような気分となり、そそくさと会場を後することもあります。
でも
「どんどん発表して下さい」
「私は面白い、興味深いと思います」
と個人的に励まして下さる先生方もおられるので、
何事も経験だと思って、皮膚科における栄養療法の成果・必要性をアピールしたいと思います。