こんにちは、院長の栗木安弘です。
このところ皮膚の話ばかりなので、少しがんについて述べたいと思います。
外科や内科に比べて皮膚科はがんの患者さんは少ないようですが、大学病院時代は皮膚がんの患者さんの入院、手術、終末期医療をよく経験しました。
こうして目をつぶると、過去に受け持った皮膚がん患者さんの顔が今でも浮かんできますが、
その多くはお亡くなりになっています。
20歳代で悪性黒色腫発病、全身転移
鼠蹊部の皮膚がんの手術、腹腔内リンパ節廓清までするも再発転移
臀部の皮膚がん、人工肛門増設で末期状態
耳や足底の皮膚がん、切除するも転移。
手術はうまくいったが急変による死去
頭皮の血管肉腫、手術するも再発肺転移
など完全切除したにも関わらず、再発転移した症例も大勢あるため、
やはり「がんと戦うな」の理論通り、
がんにはやはり悪性度の低いがんもどき、
発症した時にはすでに転移能力のある悪性がんがあるのではないかと思ってしまいます。
大学病院時代はがんと診断されればステージに基づく術式や治療方針を検討することが当たり前でした。
基本的には、がんから数センチ離して拡大切除・リンパ節廓清。そしてお決まりの抗がん剤の投与が開始されますが、
がんと栄養や免疫に関して知るようになりますと、手術がうまくいくかどうかは、術式だけでなく、
個人の栄養状態や免疫力(骨髄機能)に左右されることは間違いないかと思われます。